あれ?振り分け基準が変更されている?

同時廃止と管財事件の振り分け基準について調べてみると、最近 変更された裁判所が多くなっているようです。同時廃止と管財事件の振り分け基準は裁判所ごとに違います。その点は変わりありません。

 

 

東京地裁、大阪地裁、名古屋地裁、福岡地裁など、主要な裁判所で基準がどのように変わったのかまとめてみました。

 

東京地裁・横浜地裁の場合

東京地裁や横浜地裁では、個々の資産(預貯金、保険解約返戻金、自動車など)、現金ともに20万円を超える場合は管財事件(少額管財)として扱われていました。が、東京地裁は平成29年4月1日から、横浜地裁は平成29年10月1日から基準が少し変更されています。

 

 

 

東京地裁、横浜地裁ともに現金については33万円未満は同時廃止、33万円以上所持している場合は管財事件(少額管財)という扱いに変更になりました。それまでは現金も20万円基準だったので、少し緩和された感じでしょうか。

 

 

 

東京地裁では「自己破産の本来の形は管財事件」という考え方から少額管財の制度を導入し、統計によると平成20年以降は少額管財が自己破産の半分以上を占めていました。全国平均では自己破産のうち約65%が同時廃止ということですから、東京は少額管財がとても多いということがわかりますよね。

 

 

 

でも、民事執行法では標準的な世帯の1ヶ月の必要経費は33万円とされています。この33万円を基準として破産法でも99万円以下の現金は破産財団に属しない自由財産と定められています。そのことから、同時廃止と管財事件の振り分け基準も現金33万円に変更されたようです。

 

 

 

ただ、33万円以上の現金を持っていて少額管財になったとしても、所持している現金が99万円以下の場合は自由財産になるので没収されることはありません。

 

自由財産についてはこちらの記事を読んでみてくださいね。
自己破産で残るもの〜身ぐるみ剥がれるわけじゃない?

大阪地裁の場合

大阪地裁は現金と預貯金の扱いが東京地裁と大きく違っています。現金と預貯金以外の財産については東京地裁と同じくそれぞれが20万円を超えるかどうかが同時廃止と管財事件の振り分け基準になっています。

 

 

 

東京地裁では現金は現金、預貯金は預貯金、別々の資産としているのに対して大阪地裁では預貯金を現金とみなして、合計で99万円以下なら同時廃止を認めていました。東京と比べるとずいぶん緩いですよね。

 

 

 

大阪でも平成29年10月1日から基準が変わり、現金と預貯金を合わせて50万円を超えると管財事件に変更されました。

 

 

 

大阪地裁では、「99万円以下の現金は自由財産なので、自由財産から破産費用を払わせるのはおかしいのではないか」という考え方から99万円以下の現金・預貯金を持っていても他に財産がないのであれば同時廃止という運用をしてきました。

 

 

 

しかし、申立書に現金などを50万円以上と記載している場合、実際には99万円を超えていたり、20万円以上の個別財産を持っているという事が多く、きちんと調査をしたほうがよいのでは、ということで50万円がボーダーラインになったようです。

 

 

 

もう一つ、大阪地裁の自己破産で特徴があったのは按分弁済による同時廃止を認めていたことです。平成29年10月1日の基準改正で按分弁済による同時廃止は認められなくなりました。

 

 

 

「按分弁済」とは、「20万円以上の財産を所有していれば管財事件になる」のが原則なのですが、20万円以上の財産を所有しているとき、同額の現金を用意して、各債権者に借金の割合に応じて分割して返済をすることです。

 

 

 

例えば、30万円の査定額の車を所有していて、借金はA社に50万円、B社に100万円、C社に150万円あったとします。この場合、A社、B社、C社に対する借金の割合は1:2:3になります。

 

 

査定額の30万円と同額の現金を用意して、A社に5万円、B社10万円、C社に15万円の返済をすることを按分弁済といい、按分弁済をすれば同時廃止が認められていました。

 

 

 

大阪地裁では平成29年10月1日以降、基準が厳しくなったので、これまで同時廃止として処理されていた事件も管財事件として扱われるようになり、管財事件が多くなっているようです。

福岡地裁の場合

福岡地裁では以前は財産の総額が50万円を超えれば管財事件、50万円以下なら同時廃止という基準でしたが、2017年10月1日から基準が変更されています。現金、給料や年金の振込口座を除いて、財産の項目ごとに20万円以上の場合は管財事件になります。

 

 

 

現金、預貯金の基準は合計で30万円です。現金と預貯金を合わせた金額が30万円以下なら同時廃止、30万円を超えると管財事件になります。ただし、この場合の預貯金は給料や年金の振込口座です。定期預金などは20万円を超えると管財事件になります。

 

 

 

また、債務の額にかかわらず、資産状況や借金の経緯等が明らかではないなど、何か疑わしい点がある場合も管財事件になるようです。

広島地裁の場合

広島地裁は以前は財産の総額が60万円以下の場合は同時廃止、60万円以上だと管財事件でしたが、平成30年1月1日以降の受付分の個人破産から変更されています。

 

 

 

現金と普通預金を除く個々の財産ごとに20万円を超えると管財事件になりました。現金と普通預金は合計額が50万円以下なら同時廃止、50万円を超えると管財事件です。

 

 

 

財産以外では破産に至る経緯や資産内容に疑わしいところがあったり、否認対象行為や免責不許可事由が疑われる場合、法人の代表者、個人事業主などは管財事件を検討するケースになるようです。

名古屋地裁の場合

名古屋地裁でも平成30年1月1日から基準が変更されています。以前は「個々の財産が30万円を超えないか、または合計額が40万円以下は同時廃止」という基準でした。

 

 

 

変更後は現金と普通預金以外の個々の財産が20万円以上の場合は原則 管財事件になりました。現金と普通預金は合計額が50万円以上の場合、管財事件になります。