1.地方裁判所に破産手続開始の申立をする

ここでは自己破産手続きの大まかな流れについてみていきたいと思います。

 

 

自己破産は裁判所を使う手続きです。ですから、まず最初に地方裁判所に自己破産の申立をします。提出先は、債務者、つまり自己破産しようとしている申立人本人の住所地を管轄する地方裁判所です。

 

 

ここでいう「住所地を管轄する」というのは、住民票上の住所にこだわらず「実際に住んでいるところ」です。

 

 

住民票を置いている住所地に実際に住んでいるのなら問題ないのですが、例えば借金の取り立てが厳しくて住民票は移さずに別のところに住んでいるなどということもあると思います。

 

 

そういった場合、住民票を置いている住所を管轄する地方裁判所と実際に居住している場所を管轄している地方裁判所が違っていることもありますよね。そんな時には住民票の住所ではなく、実際に住んでいるところを管轄している地裁に破産手続開始申立書を提出することになります。

 

 

提出書類は

  • 破産手続開始申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧表
  • 財産目録
  • 戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 住民票

などです。

 

申立に必要な提出書類については別のページに詳しく書いていますのでそちらにも目を通してみてくださいね。
 自己破産申立の必要書類と取得方法

 

 

破産手続開始申立の費用は、収入印紙代が1,500円(免責許可の手数料500円も含みます)、同時廃止の場合は予納郵券と予納金が合わせて2〜3万円になります。費用は裁判所によって金額に違いがあるようですが、そんなに大きく変わることはないと思います。

 

 

予納郵券とは、郵便切手のことです。裁判所が申立人や債権者(貸金業者やクレジット会社、銀行など)に通知をするための郵便物に必要な切手を申立の時に予め納めます。予納金は主に官報に公告するための費用です。

 

 

また、破産手続開始の申立をすると、同時に免責許可の申立をしたものとみなされます

 

 

2.裁判所による審理

申立書類に不備がなく受理されると、裁判所は破産手続きを開始するかどうかを審理します。申立が法律で定める要件を満たしているか?また、破産をするべき原因があるかどうか(支払不能の状態か)?が審理されることになります。

 

 

支払不能とは抱えている借金が到底返せないような状態のことなのですが、詳しくはこちらの記事も合わせて読んでみてくださいね。

 

 

審理の方法は書面審理(提出書類による審理)と審尋になります。審尋とは裁判官が破産申立人に直接口頭で質問することで、破産に至った事情や申立書に書いた内容について質問されます。

 

 

審理の結果、支払不能などの破産要件が整っていると判断されれば、裁判所は破産手続開始を決定します。もし、支払不能の状態にはないと判断された場合は破産手続開始の申立ては棄却されます。

 

 

棄却された場合は裁判所は支払不能の状態にはない、つまり支払い能力があるという判断をしたことになります。その場合は任意整理や個人再生など、支払いをする方向で別の手段を検討しましょう。

 

 

弁護士に依頼していれば、破産申立をしても棄却されそうなケースの場合は別の方法をとったほうがよいというアドバイスがあると思いますよ。

 

 

破産開始の決定がおりるまでの期間は、これも裁判所によって違うのですが、だいたい審尋から1週間〜1ヶ月ぐらいです。

3.破産手続開始決定

破産手続開始が決定すると、決定書を裁判所まで受け取りに行かないといけません。受け取りには身分証明書(運転免許証、健康保険証など)と認印が必要です。債権者からの取立もストップします。弁護士に依頼している場合は弁護士からの受任通知が届いた時点で請求はストップしています。

 

 

東京地裁の場合、「即日面接手続」という制度があり、護士が受任、申立をした破産については申立日に弁護士と裁判官の面接があり、その日のうちに破産手続開始・同時廃止が決定するようです。

 

 

私も東京地裁ではありませんでしたが弁護士さんにお願いして審尋には行っていません。裁判所には一度も足を運ぶことなく手続が全て終了しました。これも裁判所や個々のケースにもよるみたいですが、弁護士さんに依頼すると裁判所にも行かないで済む場合が多いと思います。

 

 

 

破産手続開始が決定すると、破産申立人は破産者となります。破産者になれば、資格の制限や官報に掲載されるなどのデメリットがありますが、普通の生活を送れないほどのものではありません。

 

どんな不利益、デメリットがあるかは別の記事で詳しく書きたいと思います。
破産者が受ける制限・不利益とは?

 

 

破産手続開始の決定が出ると、今ある財産を限度として借金の清算をする作業に移ります。でも、清算するだけの資産がない場合は同時廃止といって、開始決定と同時に手続は終了します。

 

 

資産がある場合や免責に問題がある場合は同時廃止にはならず、破産管財人が選任されます。管財人によって資産が売却され、それぞれの債権者の借金の額に比例した割合で公平に分配され破産手続き終了となります。

 

 

管財人が選任される破産手続きの場合、破産手続開始申立から終結まで通常半年から1年、不動産の売却などの必要がある時には1年以上かかる場合もあります。

 

同時廃止と管財事件についてはこちらに詳しく書いています。
二つの自己破産手続き〜同時廃止と管財事件

 

 

破産手続き開始決定は官報に公告されます。これは、手続を公にして一般の人に知らせるためなのですが、実際は官報を目にするのはごく一部の人だけです。一般人が官報を見ることはまずありませんので、官報から自分の周りの人に自己破産したことを知られてしまう可能性はあまりないと思います。

 

 

官報に公告後、2週間が経過すると破産手続き開始決定が確定します。

 

 

なお、破産手続開始が決定しただけでは借金は帳消しになりません。借金がゼロになるには免責の許可が必要です。

4.免責許可の申立〜決定

免責とは、破産手続上のはいとうによって弁済できない破産者の債務について、裁判によってその責任を免除することです。つまり、免責が確定すると「借金は払わなくてもいいですよ」と裁判所に認められたことになります。

 

 

同時廃止の場合は破産手続開始・同時廃止の確定後、免責許可の手続きに移ります。破産管財人が選任される場合は、管財人によって資産の売却、債権者への配当などが終わり破産手続が終了した後、免責許可の手続に移行します。

 

 

債務者本人が破産手続開始の申立をした場合は同時に免責許可の申立もしたものとみなされるため、改めて免責許可の申立をする必要はありません。

 

 

免責許可の手続では免責審尋があり、免責についての事情を聞くため裁判官が本人と面談します。弁護士に依頼している場合は免責審尋も本人は出頭しなくてもよい場合もあります。私も裁判所に行くことなく免責になりましたよ。

 

 

免責に問題があるケースや、裁判所によっては弁護士に依頼していても審尋があるかもしれませんが、その場合も弁護士さんに頼んでいれば弁護士立会は許されるはずですので一人で裁判官と面談することはないと思います。

 

 

免責許可が決定すると、裁判所から破産者(申し立てた本人)と債権者に通知が送られます。(弁護士を立てている場合は弁護士のところに通知が届きます。)異議がなければ免責が確定し、借金を払う責任はなくなります。

 

 

免責が確定すると、借金を払う必要がなくなり、破産者名簿からも削除され復権します。復権すると破産者としての不利益(資格の制限など)からも解放されます。

 

 

でも、免責が確定しても個人信用情報機関には事故情報として登録されるので、一定期間借金ができないというデメリットは残ります。

 

 

一度免責が確定すると、免責許可の確定後7年間は再び免責を受けることはできません。実際には二度めの自己破産の申立は厳しいようです。借金ができない期間があるというのは考えようによってはありがたいことですよね。

 

 

その間に生活を立てなおして二度と借金に頼らなくてもよい生活を送るようにと免責確定後に弁護士さんに諭されました^_^;

 

 

免責は場合によっては許可されないこともあります。免責が許可されない理由を免責不許可事由というのですが、どんな場合に免責許可が下りないのかは別の記事に詳しく書いていますので読んでみてくださいね。
破産したのに借金が残る?免責不許可事由とは

 

 

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