自己破産しても生活する上では不都合はない?

自己破産にはとてもネガティブなイメージを持っている人が多いと思います。家にある家具や電化製品などの家財道具は全部取られて身ぐるみ剥がれてしまう。。。とか、選挙権がなくなるとか、表も歩けないとか。。。^_^;

 

 

実際には生活に必要な家財道具はそのまま自分のものとして自由に使うことができますし、選挙権がなくなることもないですし、破産したことは自分から言わないかぎり、他人に知られることもまずありません。

 

 

持ち家の場合は売却のために明け渡さないといけなくなりますが、破産したからといってみじめな生活を強いられるわけではありません。ほぼ破産前と同じ生活を送ることができます。

 

 

免責が認められると借金を返す必要がなくなるので、返済に追われて借金の事ばかり考えていた破産前よりも、むしろ精神的にも金銭的にもゆとりのある生活を送れるようになるかもしれません。

 

 

では、まったく不利益はないのかというと、借金から開放されるという大きなメリットがある分、他の債務整理手続きにはないデメリット、不利益もあります。

 

 

破産をするためにはまず、地方裁判所に破産手続開始の申立てをします。裁判所が審理して破産手続の開始が決定すると、申立人は破産者となります。(自己破産手続きの流れ参照)破産者になった時点でいくつかの不利益を受けることになるのです。

 

 

破産手続は、資産がない場合は同時廃止、資産がある場合や免責に問題がある場合などは管財事件といって管財人が選任される手続きになります。詳しくは二つの自己破産手続き〜同時廃止と管財事件を読んでみてくださいね。

 

 

破産者の受ける不利益は、同時廃止と管財事件では少し違いがあります。管財事件では破産管財人によって財産の状況の調査、財産の売却・換価(現金に換えること)などがスムーズに行えるよう、破産者の受ける制限が大きくなってしまうのです。

 

 

管財事件で受ける不利益

 

 

1.財産の管理処分権の喪失

 

管財事件になると、破産者の財産は破産財団に属することになり、管理処分をすることができなくなります。

 

ただし、衣服、寝具、家具、台所用品、畳、建具、その他カラーテレビ、エアコン、冷蔵庫など、生活に欠くことができないものは管理処分権を失うことなく自由に管理・使用することができます。

 

 

2.説明義務

 

破産管財人や債権者集会の請求があれば、破産に関して必要な説明をしなければなりません。

 

 

3.居住の制限

 

破産者は裁判所の許可がなければ引っ越しや長期の旅行ができません。破産手続が終了すれば自由に引っ越しや旅行をすることができます。

 

 

4.引致・監守

 

引致(いんち)とは、法律用語で「逮捕状・勾引状(裁判所が被告人や証人などを強制的に出頭させるために発する令状)などにより、被疑者・被告人・証人などを強制的に警察署・裁判所等に出頭させること」だそうです。

 

逃走や財産を隠したり壊したりする恐れのあるときなど、裁判所が必要と認める場合には監守(身体を拘束される)を命じられることがあるようです。

 

 

5.通信の秘密の制限

 

破産者宛の郵便物は破産管財人に配達されます。管財人は開封して中身を確認することができます。

 

 

 

以上が管財事件になった時だけに受ける不利益や制限されることです。これらの制限は一生続くわけではありません。破産手続が終結すると制限はなくなりますので自由に旅行もできますし、郵便物も自分のところに郵送されてくるようになります。

 

 

管財事件、同時廃止共通の不利益

 

6.公法上の資格制限

 

弁護士、司法書士など、破産者が取得できない資格があります。資格の取得後に破産者になった場合、資格が停止されたり登録が抹消されますので、資格が必要な一部の職業には一時的に就くことができなくなります。

 

制限を受ける主な職業は
弁護士・公認会計士・公証人・司法書士・税理士・弁理士・宅建士・行政書士・人事院の人事官・国家公安委員会委員・都道府県公安委員会委員・検察審査員・公正取引委員会委員・不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引業者・商品取引所会員・証券会社外務員・有価証券投資顧問業社・質屋・古物商・生命保険募集員および損害保険代理店・警備業者および警備員・建設業者および建設工事紛争審査委員会委員・風俗営業者および風俗営業所の管理者などです。

 

薬剤師・医師・看護師・公務員(特殊な職を除く)・教員などは制限を受けることはありません。

 

 

7.私法上の資格制限

 

破産者は後見人・後見監督人・保佐人・遺言執行者などになることができません。以前は合名会社・合資会社の社員、有限会社・株式会社の取締役や監査役も退社や退任をしなくてはいけませんでしたが、会社法の改正で制限はなくなりました。

 

 

8.官報に掲載

 

官報とは国(内閣府)が発行する新聞のようなもので、休日を除いて毎日発行されます。法律や政令の制定、改正などの情報や国会に関すること、大臣・省庁の人事異動、裁判の内容などが掲載されています。

 

破産開始が決定すると、氏名や住所が官報に公告されます。でも、官報は一般人が目にする機会はほとんどありません。官報から知り合いに破産したことがバレる可能性は低いと思います。

 

不動産関係の仕事で毎日競売物件をチェックしているとか、地方自治体の税務関係の部署などは官報を見ることがあるようです。

 

 

破産者になると官報には掲載されますが、住民票や戸籍に破産したことが記載されるようなこともありません。ですから結婚するときに相手に破産したことがわかってしまうといったこともありません。自分の結婚だけではなく子供の結婚や就職にも何も支障はありませんので安心してくださいね^^

 

 

また、選挙権や被選挙権など公民権が停止されることもありません。選挙で投票する権利も立候補する権利も制限されません。

 

 

ただ、破産者になると本籍地の市区町村役場の「破産者名簿」に記載されることになります。でも、破産者名簿は自分以外の第三者が勝手に閲覧することはできません。

 

 

免責が確定すると復権し、破産者名簿から抹消されます。また、公法上の資格制限、私法上の資格制限も免責が確定して復権すれば制限がなくなります。

 

 

 

でも、免責決定後にも残る不利益があります。それは個人信用情報機関に事故情報として登録されることです。いわゆるブラックリストにのってしまうということですね。

 

 

これは自己破産に限ったことではありません。債務整理をすればどの手続き方法を取ったとしても個人信用情報機関に登録されます。
詳しくはこちらの記事を読んでみてくださいね。
⇒ブラックリストの正体とは?個人信用情報機関について

 

 

 

免責が確定すれば、個人信用情報機関に登録される以外、すべての不利益、制限から解放されるのですが、免責不許可になってしまった場合は借金も返済しなくてはいけませんし、破産者の受ける不利益も残ります。

 

 

破産開始の申し立てをしても免責が許可されなければ意味がありません。免責が許可されるかどうか心配な場合は個人再生などの別の方法で債務整理したほうがいいかもしれません。

 

ケースバイケースなので、経験豊富な弁護士さんに相談してみましょう。

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