少額管財と管財事件はどう違うの?

自己破産には管財事件同時廃止の2つの手続きがあります。管財事件と同時廃止の違いを一言で説明すると、資産がある場合は破産管財人が選出されて管財事件になり、資産がない場合は同時廃止ということになります。ちなみに私はお金も資産も何もなかったので同時廃止でした(^_^;f

 

管財事件と同時廃止についてはこちらの記事も読んでみてくださいね。
二つの自己破産手続き〜同時廃止と管財事件

 

 

管財事件と同時廃止の違いとか、色々と自己破産について調べていると少額管財という言葉をよく見かけました。でも、私は自分が自己破産をした時に弁護士さんとの話の中などに「少額管財」という言葉は出てこなかったように記憶しています。

 

 

少額管財と管財事件はどう違うのか、疑問に思ったので調べてみました。

 

 

少額管財とは?

少額管財とは、管財事件のうち、裁判所に支払う予納金を大幅に少額で済むようにしたものです。通常の管財事件だと50万円以上必要だった予納金を20万円〜と半分以下に減額し、手続きの期間も通常半年から1年以上かかっていたものを約3ヶ月で終わらせるよう手続きが簡素化されています。

 

 

 

少額管財は元々は東京地裁から始まった制度なのだそうです。東京地裁以外の地方裁判所でも少額管財のような、従来の管財事件を簡素化した制度で運用しているところもあるのですが、「少額管財」という名称ではなく別の呼び方をしている場合もあるようです。だから私は一度も「少額管財」という言葉を聞いたことがなかったんですね。

 

 

 

地方によって例えば、「一般管財」「簡易管財」「小規模管財」「e管財」などと呼ばれている管財事件があるのですが、これらは東京地裁の「少額管財」と考え方は同じです。名前は違っても、予納金の金額が「20万円〜」となっていれば、東京地裁で言うところの「少額管財」と内容は同じようなものと考えてもよさそうです。

 

 

 

でも、日本全国どこの裁判所でも「少額管財」のような制度があるわけではありません。中には少額管財のしくみが取り入れられていない裁判所もあるので、詳しいことは各裁判所やその裁判所で自己破産をたくさん扱っている弁護士さんに確認しましょう。

 

 

少額管財の制度はありますか?

 

のように、「少額管財」という言葉を使って質問すると

 

 

 

それは東京の制度ですね。

 

 

などと答えが返ってくることもあるようなので、「少額管財」というワードは使わずに

 

 

 

予納金は20万円ですか?

 

 

と予納金の金額を聞いたほうがいいかもしれませんね。

なぜ少額管財のような仕組みが導入されたの?

少額管財は平成11年に東京地裁が始めた制度なんですが、なぜ少額管財のような仕組みが導入されたのでしょう?元々、破産手続きは予納金50万円が必要で期間も半年から1年もかかる大変な手続きだったそうです。(今でも金額が大きい個人破産や法人の破産手続きは費用も時間もかかるんですけどね。)

 

 

 

でも、お金のない人にとって50万円は大金です。「破産したいのに破産もできない…(>_<)」なんていう事態にもなりかねません。それで処分するような資産がなく、破産費用を用意できない場合には破産手続き開始決定と同時に破産手続き終結の決定がなされる同時廃止の制度ができました。

 

 

 

破産手続きを早く終わらせるために「同時廃止」という制度ができたのですが、「同時廃止」には問題点もあります。

 

 

 

破産者の申請書類だけで破産手続きを終わらせるため、中には資産隠しを企む人がいたり、隠すつもりはなくても書類に記載するのをうっかり忘れてしまったり…「債権者が裁判所に意見を言う機会がないので不公平だ」という声もあるようです。

 

 

 

管財事件だと管財人が資産をチェックするので、資産隠しや記載忘れはなくなりますし、債権者集会も開かれます。債権者集会とは裁判所で行われる債権者への説明会のことで、破産管財人によって次のような事柄について説明が行われます。

 

  • 破産者の財産や負債の内容
  • 破産に至った経緯
  • 現在の生活の状況
  • 配当金額の説明
  • 免責についての管財人の意見

 

以上のように、管財事件だと同時廃止の問題点をカバーできるのですが、何度も言いますが50万円の予納金は高いです。そこで手続きを簡素化して費用を安くすることで管財事件を利用しやすくして、予納金20万円の少額管財という仕組みができたそうです。

 

 

 

「何でも同時廃止」ではなく、調査が必要な場合は少額管財という流れに変わっていき、現在では東京地裁で扱う自己破産の半分以上、管財事件のうち95%が少額管財だそうです。少額管財のほうがスタンダードになり、東京地裁でも今では「少額管財」という言葉が使われなくなって「通常管財」と呼ばれているそうですよ。

 

 

 

東京地裁では法人でも大規模だったり複雑な破産事件でなければ少額管財の利用が可能です。予納金は4回まで分割払いができるそうなので、そういうところも少額管財の利用が増えている要因かもしれませんね。

 

 

 

平成26年度の司法統計によると、全国平均では同時廃止の割合が約65%ということなので、いかに東京地裁では少額管財が多いかというのがわかりますよね。

少額管財を利用するための条件

予納金が20万円からと利用しやすくなっている少額管財ですが、利用するためにはいくつかの条件があります。利用するための条件も、各裁判所によって違うのですが、だいたいどこの裁判所でも採用している条件をいくつか紹介したいと思います。

 

弁護士に依頼していること

 

少額管財を利用するには弁護士に依頼していることが条件になります。弁護士に依頼しないで自分で書類を作って申し立てた場合は従来の管財事件と同様の扱いになり、予納金は最低でも50万円になります。

 

 

 

少額管財は、管財人の仕事をできるだけ減らして短期間で破産手続きを終わらせることで予納金の金額が20万円からと少額になっています。手続きをスピーディーに進めるためには事前に弁護士による調査がしっかりされていることが重要になります。

 

 

 

弁護士さんに依頼すると、隠している資産や忘れている資産はないか、免責不許可事由に該当しないかなど、何度も面談や確認をして破産の申立書類を作成してくれますので、ひと通り調査が終わっているような状態です。本人申立てだと管財人が位置から調査をすることになるので、調査に手間も時間もかかってしまいます。

 

 

 

また、司法書士に依頼しても少額管財は利用できない裁判所が多いようです。裁判所によっては「弁護士依頼の場合は20万円から」、「司法書士依頼の場合は30万円から」というように、予納金の金額を変えているところもあるみたいです。

 

 

 

弁護士さんに自己破産をお願いすると弁護士費用はかかりますが、管財事件になったときの予納金の金額が30万円も違うのなら、その金額で弁護士さんをお願いしたほうがメリットが大きいと思います。

 

 

 

 

もし、もう少し弁護士費用がかかったとしても、資料収集から書類作成まできちんとやってもらえて、受任通知で債権者からの請求も止まりますし、私の場合はお願いしていることの安心感というか、弁護士さんにお願いすることで精神的にずいぶん楽になりました。

 

 

3ヶ月で破産手続きが終わる見込みがあること

 

少額管財は3ヶ月後の債権者集会までにすべての財産の売却(換価)、債権回収を終わらせて、破産手続きを終了させないといけません。売却に時間がかかりそうな財産や取り立てが大変そうな債権がある場合は利用できないこともあります。

 

 

 

裁判所によっては金額の基準を設けている所もあるようです。例えば名古屋地裁では、破産財団の額が60万円を超える場合は少額管財を利用できないと決まっています。ただし、60万円を超える財産でも現金化するのが簡単な預金や保険の解約返戻金等の場合は少額管財を利用できます。

 

不動産がある場合

 

不動産は売却して現金化するのに時間がかかると考えられる資産ですが、すぐに買い手が見つかるような売りやすい物件だと判断されたり、逆に明らかに財産価値がない場合は破産財団から放棄されるので少額管財を利用することもできるようです。

 

 

 

共有名義だったり、ゴミの撤去が必要など、売却に時間がかかりそうな場合は少額管財を利用できない可能性が高いです。また、仮に少額管財の利用が認められたとしても、現金化に時間がかかるようなら追加で予納金の支払いをしないといけなくなるかもしれません。

 

否認対象行為がある場合

 

否認対象行為とは、自己破産の直前に財産を譲り渡して特定の債権者だけに優先的に返済をしたとします。その後自己破産の手続きが開始されたときに、管財人から「他の債権者に不公平なので返してください」と言われてしまうような行為のことです。

 

 

 

本来ならば破産財団に組み入れられるべきだった財産が流出してしまっているので、再び破産財団に組み入れて適切な形にするために管財人は「否認権」を行使することができます。

 

 

 

「返してください」と言われてすんなり返してくれれば問題はないのですが、そう簡単に応じてくれるケースは稀で、拒否されれば取り返すために訴訟を起こすことになります。

 

 

 

訴訟になると解決まで長期間かかってしまうので、破産手続きも3ヶ月では終了しなくなってしまいます。そのため、否認対象行為がある場合には最初から少額管財が認められないか、認められたとしても長期化すれば予納金の追加を求められることになります。

 

債権者の数

 

債権者の数が多すぎると少額管財が利用できない可能性があります。債権者数の目安として、50社未満としている裁判所が多いようです。個人では50社なんてことはまずないでしょうから、これは主に法人のケースになると思います。

自由財産の拡張や免責不許可事由に該当する場合

通常は破産を申し立てた人に財産がない場合には同時廃止になるのですが、財産はないけれども「免責不許可事由がある」「自由財産の拡張を申請したい」というケースを少額管財の対象にしている裁判所もあるようです。

 

免責不許可事由

 

免責不許可事由とは、破産法の252条に定められている免責が許されないケースのことで、財産を隠したり、破産の理由が浪費やギャンブルの場合などは免責不許可事由に該当する場合もあります。

 

免責不許可事由についてはこちらの記事も呼んでみてくださいね。
破産したのに借金が残る?免責不許可事由とは

 

 

 

免責不許可事由に該当する疑いがあると、少額管財を適用して管財人が調査をする場合があります。この場合、一見 破産申し立て者に不利な印象ですが、実際はそうでもないんです。

 

 

 

というのは、実際に免責不許可事由に該当することがあったとしても、管財人が「すごく反省しているので免責が妥当です」という意見書を書いてくれれば免責の許可が出やすくなります。

 

自由財産の拡張

 

自由財産とは自己破産でも処分されずに自分のものとして所有できる財産のことで、「99万円以下の現金」と「差し押さえ禁止財産に該当するもの」は無条件で自由財産として認められています。

 

 

その他に裁判所に申請をすれば追加で自由財産として認めてもらえるものがあります。これを自由財産の拡張といい、拡張が認められる財産は裁判所によって違いがあります。

 

《参考記事》 自己破産で残るもの〜身ぐるみ剥がれるわけじゃない?

 

 

 

自由財産の拡張を認めるには、法律では「裁判所は管財人の意見をきかなければならない」と定められています。そのため、自由財産の拡張を認めてもらうために少額管財事件として扱う裁判所があるようです。

少額管財についてのまとめ

少額管財とは?

  • 管財事件のうち、裁判所に支払う予納金を大幅に少額で済むようにしたもの
  • 短期間(3ヶ月以内)で破産手続きを終了させる
  • 元々は東京地裁から始まった制度
  • 東京以外の地方では別の呼び方のところも
  • 予納金が20万円〜となっていれば、少額管財と内容は同じ
  • 管財人がチェックするので資産隠しなどの同時廃止の問題点がカバーできる
  • 自由財産の拡張や免責不許可事由がある場合に少額管財の対象にしている裁判所もある

少額管財を利用するための条件

  • 弁護士に依頼すること
  • 3ヶ月で破産手続きが終わる見込みがあること
  • 債権者の数が多すぎないこと

 

少額管財を利用するには弁護士さんに依頼していることが条件になっています。弁護士費用はかかりますが、裁判所に収める予納金は大幅に少なくなります。その他にも破産手続きに関してはほとんどのことを弁護士さんがやってくれるので自分がしないといけないことは、ほぼなくなります。

 

 

安心感も大きいですし、メリットしかないと言っても過言ではないと思いますよ。私の場合は同時廃止でしたが、弁護士さんにお願いして本当に良かったです。