利用条件の違い

個人再生には小規模個人再生給与所得者等再生の二つの手続きがあります。給与所得者等再生は、その名前の通り、収入が給与所得、つまり毎月決まったお給料が入るサラリーマンやOLなどの会社員が利用することを想定した制度です。

 

小規模個人再生を利用することができる人の条件は

 

  • 住宅ローンを除く借金の総額が5000万円以下であること
  • 借金を返済していくことが困難であること
  • 今後もある程度安定した収入が見込めること

の3点です。

 

 

給与所得者等再生を利用するためには、上記の3点に加えて

 

  • 安定した定期的な収入があり、その収入の変動の幅が小さいと見込まれること

が必要条件になります。

 

 

ですから、例えば個人でお店を経営しているような個人事業主は「収入の変動の幅が小さいと見込まれる」とは言えない部分もあるため、給与所得者等再生は利用できません。個人事業主の人の場合は小規模個人再生を利用することになります。

 

 

では、サラリーマンやOLなどは必ず給与所得者等再生を利用しなければいけないのかというと、そんなことはありません。会社員で収入が給与所得であっても小規模個人再生を利用することもできます。

 

 

個人事業主の場合は小規模個人再生しか利用できないのですが、会社員の場合は小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらかを選ぶことができます。

その他の違い

小規模個人再生と給与所得者等再生では利用することができる条件以外にも大まかに3つの違いがあります。

 

 

1点目は小規模個人再生は債権者(貸金業者など)の決議が必要なことです。

 

 

小規模個人再生では、借金の減額に同意しない債権者が債権者の総数の半分以上の場合、または反対している債権者の債権額(借金の額)が借金全体の半分以上の場合は借金の減額が認められません。

 

 

給与所得者等再生の場合は債権者の決議は必要なく、債権者からは意見を聴くだけで借金の減額が認められることになります。

 

 

 

2点目は、給与所得者等再生は申立前の過去7年以内に給与所得者等再生の申し立てをして認可を受けていたり、自己破産を申し立てて免責の決定が下りている場合、裁判所から申し立てが認められません。

 

 

小規模個人再生にはその規定がないので過去7年以内に給与所得者等再生や自己破産をしていても利用することができます。

 

 

3点目の違いは借金の減額の方法、基準です。個人再生の魅力は借金の額を大幅に減額することができる点ですが、最低弁済額(最低でもこれだけは返済しないといけない金額)が法律で定められています。

 

 

その最低弁済額の算出方法が小規模個人再生と給与所得者等再生では違っています。

 

 

(1)借金の総額によって定められた最低弁済額

 

法律で定められた最低弁済額は次のようになっています。

借金の総額 最低弁済額
100万円未満 借金全額
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 5分の1
1500万円以上3000万円未満 300万円
3000万円以上5000万円未満 10分の1

 

 

(2)財産をすべて処分した場合に得られる金額
(住宅ローン支払い中の自宅は含みません)

 

 

小規模個人再生では、(1)と(2)を比べて多いほうが最低弁済額になります。

 

 

これは清算価値保障の原則というものです。

 

 

仮に個人再生ではなく破産手続が行われた場合は財産はすべて処分され各債権者に配当されることになります。個人再生を選択すれば持っている財産の総額よりも少ない額の支払いでよいということになれば、破産手続と個人再生手続の間の公平が保たれません。そのため、破産の場合の配当よりも多く返済することが、債権者の利益のために保障されているのです。

 

 

例えば、借金総額150万円で処分できる財産が何もない人は最低弁済額は100万円になりますが、同じ借金総額150万円でも解約返戻金70万円の生命保険と50万円の車を所有している人は120万円の財産があることになりますので、最低弁済額は100万円ではなく120万円になります。

 

 

給与所得者等再生の場合は上記の(1)と(2)に加えてもう一つの基準があります。

 

 

(3)申立前2年分の可処分所得

 

可処分所得とは、収入から税金や法令で定められた生活費を際し引いた金額です。生活費は年齢や住んでいる地域によって法令で決められています。

 

可処分所得の詳細や計算方法は別のページにありますのでこちらも合わせて読んでみてください。
個人再生の可処分所得とは?計算方法は?

 

 

給与所得者等再生では(1)、(2)、(3)のうち一番多い金額が最低弁済額になります。

どちらを選択すればいいの?

比較的収入が多い人の場合、可処分所得が多くなりあまり借金の減額にならないといった場合もあります。そのため、給与所得者等再生を利用することができるサラリーマンであっても小規模個人再生を選択する人のほうが多くなっているようです。(参考記事 個人再生の可処分所得とは?計算方法は?

 

 

給与所得者等再生には債権者の決議がいらないというメリットはありますが、貸金業者などは ほとんど反対する業者はないようです。ですから会社員であっても可処分所得が多くなりそうなら小規模個人再生を利用したほうがいいかもしれませんね。

 

 

会社員で車を持っていたり解約すれば返戻金があると言ったケースでは、自分にとって小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選択するのが適しているのか、判断するのは難しいです。やはり弁護士や司法書士に相談するのが一番だと思いますよ。

 

 

こちらの記事にも書きましたが、個人再生は裁判所を利用するため手続きが複雑で提出書類もたくさんあります。裁判所が決めた提出期限までに提出をしないと、個人再生手続の申立がムダになってしまいます。

 

 

日中、仕事をしながら提出書類の収集や作成をし、決められた日時に何度か裁判所に足を運ぶことは普通の会社員にはちょっと無理なんじゃないかなと思います。弁護士さんに頼めば書類の作成もしてもらえますし、自分が動かないといけないことも最低限で大丈夫です。

 

 

まずは弁護士さんに相談してみましょう。