1.再生手続開始の申立て

個人再生は裁判所を介する手続きですので、まず最初に裁判所に申立を行う必要があります。申立をする裁判所は住所地を管轄する地方裁判所になります。

 

 

住宅ローンが残っているマイホームを手放さないで個人再生をする場合は、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)の適用を受けなければいけません。住宅ローン特則を利用する場合は申立のときにその旨も一緒に申立をします。

 

 

申立のときに裁判所に提出する書類は

  • 申立書
  • 陳述書
  • 財産目録
  • 債権者一覧表
  • 住民票
  • 収入が分かる書類
  • 家計収支表

などです。

 

申立をする裁判所によって申立時に提出する書類が違う場合や、提出時期が違う場合などもあるようです。

 

 

裁判所に申立てをするときに必要な費用は、申立手数料が1万円、予納金が11,928円です。申立手数料の1万円は申立書に1万円分の印紙を貼り付けます。予納金11,928円は官報公告費用になります。

 

 

他には裁判所から債権者に書類を送るための切手を納める必要があります。これは裁判所によって多少枚数や金額が違うようなので、実際に申立をする裁判所に問い合わせをしてみてくださいね。ちなみに東京地裁の場合は1,600円ぐらいのようです。

 

 

これらの費用の他に、個人再生委員が選任される場合は別途予納金が必要になります。予納金の金額も裁判所によって違います。例えば、札幌地裁では30万円、熊本地裁のHPによると約8〜13万円、甲府地裁は25万円です。

 

 

個人再生委員が選任される場合、予納金はどこの裁判所でもだいたい15〜20万円ほどは必要になりますが、分割納付も可能なようです。こちらも申立をする裁判所で確認をしてくださいね。

 

 

申立書類の提出後、裁判官による審尋があることがあります。審尋とは裁判官との面談のことで、提出書類に書いてあることについて質問をされたり再生手続の開始を決定するかどうかを判断するために行われます。

 

 

審尋は裁判所によってあるところとないところがあり、弁護士に依頼している場合は省略されることが多いようです。弁護士や司法書士に依頼している場合、審尋のときには同席も認められます。

 

 

悪いことをしているわけではありませんが、裁判所に一人というのは心細いものですよね。やはり弁護士さんや司法書士さんが同席していると心強いです^^

2.個人再生委員の選任

個人再生委員とは、申立人の財産等を調査し、個人再生の開始を決定すべきかどうかを裁判所に助言したり、個人再生手続開始決定の後に作成することになる再生計画案についてアドバイスなどを行う者で、主に裁判所から選任された弁護士が務めます。

 

 

前にも書いたように、個人再生委員が選任された場合は予納金が必要になります。個人再生委員は弁護士に依頼している場合は選任されない裁判所がほとんどです。個人再生は手続きが複雑で、書類の作成も時間も手間もかかります。

 

 

予納金と同じぐらいか少しの上乗せで弁護士費用は捻出できると思います。個人再生とは?の記事にも弁護士に依頼するメリットについて書いていますが、実際に名古屋地裁のホームページには以下のように書かれています。

 

一般的に、弁護士に依頼をせずに、本人で日常の仕事に従事しながら、個人再生の申立手続きを遂行していくことは、実際には相当難しいと思われます。

 

 

ちょっと話がそれましたが、経験者の立場から言わせてもらうと、私の場合は自己破産でしたけど、個人再生に限らず債務整理は弁護士さんにお願いするのがいいと思います。

 

 

東京地裁に申立てをした場合

 

東京地裁では代理人弁護士がいてもいなくても、必ず個人再生委員が選任されます

 

 

裁判所に申立書類を提出した日からおおむね1週間以内に個人再生委員の指定する日時、場所で面談をします。個人再生委員は弁護士であることが多いので、たいていは再生委員の弁護士事務所で行われます。

 

 

代理人を弁護士に依頼している場合は自分の代理人弁護士も再生委員との面談に同席してもらえます。

 

 

面談では、借金の状況、資産状況、家計の状況、収入などについて、申立書類に書いたことの確認が行われます。もし不足書類や追加の書類を求められれば決められた期限までに提出をします。

 

 

そして東京地裁では履行可能性テストというものが行われています。個人再生では再生計画が認められると3年間返済を続けていくことになります。履行可能性テストとは、本当に再生計画通りに返済が続けていけるかどうかを判断するためのトレーニングのようなものです。

 

 

再生委員が指定した口座に1ヶ月あたりの弁済予定額と同じ金額を毎月決まった日までに、6ヶ月間振込をします。1回目の振込は申立から1週間以内です。

 

 

面談の結果や1回目の振込が期日までに振り込まれたかなどを参考に、再生委員は申立から3週間以内に個人再生手続を開始すべきかどうか、意見書を裁判所に提出します。

 

 

再生委員の意見書に基づいて裁判所は個人再生手続を開始するかどうかを決定します。決定が出るまでは申立からおよそ1ヶ月ぐらいです。

 

 

また、履行可能性テストの6ヶ月間の間にきちんと期日通りに振込ができていなかったり途中で振込がストップしてしまうようなことがあると、いったん裁判所から個人再生手続開始の決定がなされていても取り消されてしまうこともあります。

3.個人再生手続開始決定

裁判所は提出された申立書類に不備がないか、個人再生を申し立てることができる条件に当てはまっているか、などを審議して再生手続の開始を決定します。

 

 

個人再生申立の条件とは小規模個人再生と給与所得者等再生の違いのページにも書いていますが、小規模個人再生の場合は以下の3点

  • 住宅ローンを除く借金総額が5000万円以下
  • 借金を支払っていくことが困難(支払不能のおそれがある)
  • 安定した収入が見込まれる

 

給与所得者等再生の場合は上の3点に加えて

  • 安定した定期的な収入があり、その収入の変動の幅が小さいと見込まれる

ことです。

 

 

再生委員が選任されている場合は再生委員の意見も参考に再生開始を決定するかどうかを判断することになります。

 

 

再生手続開始が決定されると、債権届出期間と再生債権に対する一般異議申述期間を定めて官報に掲載(公告)されます。「官報に掲載される」という点では自己破産と同じということですね。

 

 

債権者(貸金業者など)には再生手続が開始されたことを知らせる書類と債権者一覧表が送付されます。債権者は、債権届出期間内に債権の届出や、債権額(借金の金額)などに意義がある債権者は意義を述べることができます。

 

 

意義があった場合は債権の評価制度という手続きで債権額が確定されることになります。債権の評価制度とは、裁判所が個人再生委員の意見を受けて債権の額などを評価する制度です。

 

 

再生手続開始の決定がなされると、全ての債権者に対して手続き終了まで返済することが禁止されます。ただし、住宅ローンだけは別で、支払いを続けてもよいのですが、その場合は申立のときに住宅資金貸付債権(住宅ローン)に関する特則を利用することと、弁済許可の申立をする必要があります。

 

 

債権者からの取立行為や督促も禁止され、強制執行や競売は中止されます。弁護士や司法書士に依頼している場合は受任通知が債権者に送られることで既に請求は止まっていて、支払いもストップしていると思います。

 

 

東京地裁の場合は再生委員に対して弁済のリハーサルとして返済予定額を振り込む履行可能性テストがありますが、東京地裁以外の裁判所では専用の口座を作ってその口座に毎月決まった日までに一定の金額を積み立てることになります。

 

 

積立口座の通帳(コピー)は、裁判所によっては後日 提出を求められることがあり、このあと提出する再生計画認可の判断材料になる場合もあります。期日までに積み立てられていなかったり、途中で引き出したりしていると再生計画案が認可されないこともあるようです。

 

 

弁護士、司法書士に依頼している場合、債務整理の方法として個人再生を選ぶと決まったときから専用口座を作って積立を始めるように指示されることも多いようです。個人再生は申立書類の作成や準備に数ヶ月かかります。長期間きちんと積み立てられていれば、再生計画の履行も大丈夫と判断されやすくなります。

 

 

また、弁護士や司法書士の費用を一括では支払えないというケースがほとんどだと思いますので、弁済予定額に少しプラスした金額を積み立てて、弁護士費用にあてることもあるようです。

4.裁判所の審尋・再生委員との面談

裁判所の審尋(裁判官との面談)は、裁判所によっては行われなかったり、再生開始決定前に審尋がある場合もあります。弁護士に依頼している場合は審尋はないことが多く、裁判所には一度も出向くことなく再生手続が終了することもあるようです。

5.再生計画案の提出

法律によって減額された額を原則3年間で返済する再生計画案を作成します。裁判所が提出期限を定めるので、決められた期日までに提出します。

6.再生計画案の認可・不認可

小規模個人再生の場合は債権者の書面による決議が必要になります。債権者数の2分の1以上、または反対した債権者の債権額が全体の2分の1を超えている場合は再生手続は廃止、つまりここで終了となり、借金は減額されないことになります。

 

 

給与所得者等再生の場合は債権者への意見聴取は行われますが、決議は決議は必要ありません。問題がなければ再生計画は認可され、約1ヶ月後に再生計画案は確定します。

 

7.支払い開始

再生計画案の確定で減額された借金を毎月、もしくは3ヶ月に一度返済していきます。3年間の返済が終われば残りの借金は免除されます。

 

 

 

裁判所によって違っているところもありますが、以上が大まかな個人再生手続の流れになります。個人再生は手続きが複雑で申立書類もたくさんあります。個人再生を検討しているなら、弁護士さんに相談してみましょう。